2007年 09月 27日
川の神様
ボサとイバラの斜面を慎重に下り、洪水に洗われたアシとゴミの山を超えて川に降り立つと、すっかりと変わってしまった溪相に改めて驚いた。
赤茶けた岩盤むき出しの溪相が火星の表面を連想させる。
歩き難かった浮石が綺麗さっぱりと流されてナメ底の泥岩に深く切れ込んだミゾが姿を現し、100m程上流にあったはずの大岩は入溪点近くまで移動してきて川の真ん中にドンと居座っていた。
火星の川は何処かどんよりとしていて、流れを覗き込むと大小のハヤ達が右往左往しているのが見え、すべての深みがハヤの巣窟のように思えてしまう。
しかし、淀みの端に群れるすばしっこいチビちゃん達に目を凝らすと、なんとヤマメの赤ちゃん達。
良くぞ生き抜いてくれた、嬉しさと共にちょっとやる気が沸いてきた。
まずは大石の左側、結構風が強いがロングキャストで狙ってみる。
ターゲットは垂れ下がったツタの下、距離約14m(バスケットコートの真ん中からコート端のラインまで)へ、ダブルホールでシュート!
と、追い風も味方して更にその奥へとフライが滑り込んだ。
ドン!来た!でかい!
長く伸びたラインがビーンと張ってバンブーロッドが小気味良くしなる。
ロングキャストフィッシングはこの瞬間がたまらない!
しかもバンブーロッドだから楽しさ倍増!
思わずロッドの曲がり具合を眺めて、っとそんな余裕無く相手は下流へと方向転換しナメ底に深く掘り込まれたミゾを銀の砲弾がすごい勢いでこっちへと突っ込んで来るのが見えた。
ラインはしなしなとだらしなく垂れ下がり俺は焦り必死でラインを手繰る。
(今思えば、トップにラインが絡んだら非常にマズイ状況だった。)
やばいやばいやばいヤバイ!
バレた。
やれやれ、っと思う間もなくラインがするすると生き返る。
よしラッキー。
ラインを咥えサイドへと回り込み相手との距離を測る。
ロッドティップを見上げ生命反応のある方向を確認する。
いたいた。
相手はようやく俺の存在に気づき、驚き、ローリングを始め、ティペットが絡み付き、もんどり打って今度は上流へと走り出した。
させるかっ!
ロッドを下流側へ倒し込み、しならせて堪える。
がくがくともがく相手の振動をバンブーロッドは吸収し、戦意までもを吸い取るのだ。
疲れ、観念した相手は程なくネットへ収まった。
思った程大きくは無かったがナイスファイトのヤマメ。
ニュージーでのブラウンとのファイトをそのままスケールダウンしたようなやり取りにしばし興奮。
低番手のロングロッドは無条件に楽しい。
良く見るとメス?と言うことは・・・。
釣れちゃった。
アメリカでのレインボーとのファイトをそのままスケールダウンしたようなやり取りにしばし興奮。
低番手のバンブーロッドは無条件にめちゃくちゃ楽しい!
良く見るとまたもやメス?と言うことは・・・。
流石にそこでは出なかったが、その後もまずまずのサイズと大いに戯れ、腹一杯の大満足で今シーズンラスト釣行を飾ることが出来、晴れ晴れとした気分で納竿となった。
心の奥底にこびり付いていたカサブタもいつの間にかポロリと取れて、何処かへと流れて行ったらしい。
ここは様々な出来事に出くわす川。
嫌な事、悪い事、哀しい事、そして嬉しい事や楽しい事。
それは人生にも重なって今もあそこを流れている。
川の神様に感謝。
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by koubouquest
| 2007-09-27 12:43