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~GO!GO! Fly Fishing!~

腹へりイワナと猫ヤマメ


この川の、この平瀬区間を攻めるにはちょっと時期が遅かった。
案の定、出て来るのは少し臆病になった小ヤマメばかり。
だけどここの流れはお気に入りの区間、そんな事は大した問題ではない。
フライが思い通りのレーンにポトリと落ちてスーッと流れてヤマメがパシャッ!
としてくれれば、それでいいのだ。

それでもまあまあのヤマメも何匹か顔を出してくれて平瀬区間は終了、その先の荒瀬区間へと進む。
ここから上は大きめのやつが出る事もあるものの、ポイントがはっきりしているがために釣り切られるのも早く、たいした期待はしていない。
軽く探って、その先のトロ瀬に期待を膨らませる。

とりあえず白泡の吐き出しの向こう側にフライを落とす、とキラリ、結構な深さでまあまあサイズのヤマメが反応した。やはり相当スレている様だ。
それもう一度、オマケでもう一回・・・出る訳ないか、ラスト一発・・・ん?
今度はオレンジ色がひらり、珍しくもイワナ!しかも目があっちゃった。

イワナはあっという間に釣り切られてしまうのでこの区間では貴重な存在、賢いヤツに違いない。
いやそれよりもヤマメと交代して出てきた、って事の方が面白くて少し遊んでもらう事にした。

フライをアントに変えてポトリと落とす・・・来た!鼻先を添え、ツーと観察し、急いで白泡へと逃げ込んだ。
もう一回・・・更にもう一回・・・出ないか、出ないよな。

これならどうだ?今度は細めのCDC黒カディス、これなら食うだろ・・・えっ出ない?出ないのね。
んじゃ、とフラッタリングを加えたら白泡の下で食うか食うまいか悩んでいる姿が見え、思わず笑ってしまった。
そーかそーだよな~、先にヤマメが全部食っちゃうもんだから腹へってるんだもんなぁ。

そして何度目かでついに辛抱たまらずちょっとだけかじって、ああっ!下の段へとフライと共に流されてしまった。
針先に触ったかな?まあいいか、釣り上げてお腹をコチョコチョしたかったんだけどなぁ・・・ま、十分遊んでもらったのでヨシとしよう。

賢くなったヤマメは猫の様にそっけないけど、腹減りイワナはワンコのように遊んでくれるのでカワイくてしょうがない。

上流を目指し暫らく上がって行くと、あれ?50m程上流の脱渓点にルアーマンの姿。
さっきまでは誰もいなかった筈なのに、状況からして確信犯、こちらをチラとも見もしない。

やれやれしょうがない帰るとするか・・・って、脱渓するには中途半端な位置、川通しで下るしかない。
せっかくなので、フライパターンを変えて釣り下る事にする。
こんな事は魚影が濃くてハイプレッシャーなこの川だから出来る事。
白っぽくて大き目のパラシュートを結んだ。

思った通り、アップクロスではドラグが掛かって失敗したポイントからヤマメが2・3匹出てきた。
白っぽいカディスもちらほら見えて、フライ的にもマッチしているようだ。

で、さっきのポイントに到着、もしかしたら出るかな?
ダウンクロスでちょろちょろと流してやると、一流し目でパシーンと派手にヤマメのフリッピング!
おお、ビビリながらも出たねー。
二・三流し目は無反応、イワナは気配無し。

諦めて下ろうと思ったら、本物のカディスがはたはたと水面を転がるように、まさにそのポイントに流れ下って行った。
どうなるのかと見ていたら、気配も無かったさっきのイワナが白泡の影で食うか食うまいかで悶絶!で本物のカディスはそのまま下流へ・・・。

腹減ってるんだよねぇ、分かった、それじゃあね、
必っ殺ぁ~つ!テンテン落としーーっ!! コレでどーだーッ!!!
※「必殺テンテン落とし」=魚が水面の虫を食っている時はミミズの食いが落ちるので、そのままミミズを水面でちょんちょんと踊らせ、魚の気を引いたところでポチャリと落として食わせるというワザの名前。
まだ小学生だった阿部少年が開発し、当時同釣行のオトナ達顔負けの釣果を上げていたマル秘テクニックの一つ。その後テンカラにも同様の技がある事を知り、自己満足に浸る。

そりゃ ・テン ・テン ・テン ポトン!
「釣ったぁあああ!!」自分でもびっくりするほどの声で叫んでいた。
ちょっと悔し涙のいわなちゃん、これは是非とも撮っておかねばなるまい。

腹へりイワナと猫ヤマメ_d0091323_11524543.jpg



よし、これでもうスッキリ!ロッドを畳む前にもう一流し、確認のため。
と思ったら、ありゃまぁ食っちまっただよ。

「何匹か旨そうなのが流れて行ったけど、釣り人はいるし・・・ま、慎重な彼女だから、彼女が食ったら、オレも食っちゃお。」
てな感じだったんだろうか。

腹へりイワナと猫ヤマメ_d0091323_11532034.jpg

こっちは「しょうがねぇや。」って諦め顔、禁断の恋だったりして・・・。


いずれにせよ、お互いの存在をしっかりとそれぞれ目で確認し、やり取り駆け引き心理戦の後、狙い通りの読みとテクニックで「釣ったっ!」という手ごたえをしっかりと感じ取れた、心に残る一匹となった。

これぞフライフィッシングの醍醐味!


腹へりイワナと猫ヤマメ_d0091323_11534241.jpg



ここの流れはお気に入りの区間、フライが思い通りのレーンにポトリと落ちてスーッと流れて・・・・。
by koubouquest | 2010-07-21 12:02